できるのか?ではなくしなくてはならない
私はこのブログでシルバーアクセサリーの物販に関しては低リスクで少額から始められるということをアピールしています。それに偽りはないのですが、少額から始めてある程度利益が出始めてきた場合、その利益を伸ばそうと思うとどうしても手元資金が必要になります。
シルバーアクセサリーに限らず物販業というのは仕入れが必要になります(無在庫販売・転売などの手法もあるかと思いますが私は経験がないので言及しません)仕入れは現金を売れる見込みのある在庫に変える行為なので、売上と利益を伸ばそうと思えばそれだけの現金が必要になります。
多くの人はこの現金において自己資金だけを元手に考えてしまいがちなのです。しかしここで考えていただきたいのは事業資金を金融機関から借り入れる、つまり借金をするということです。
日本人というのは低リスク志向で、借金を嫌う国民性です。私も借金は嫌いで個人で物を買う場合に借り入れをしてまで買うということはほぼ無いのですが、事業資金は話が別になります。
売上が立って手元に現金が入り次の仕入れを行うサイクルがあるわけですが、売上が伸びれば伸びるほど手元に現金が残らなくなります。売上が伸びれば仕入れが多くなり、仕入れが多くなれば出て行く現金が多くなるためです。現金がなくなる、つまり資金ショートが起これば事業は破綻します(企業であれば倒産を意味します)
これが本当に不思議な現象なんですが、売上が立っているので手元資金が増えていくかと思いきや次の仕入れをするための現金が足りず悩んでしまうわけです。売れる商品は分かっているのに仕入れるための現金がない、これはとても苦しい状況です。
これは小規模ながらも事業を営んでいる方でないと実感がしづらい現象だと思います。
しかしこの感覚に至るほど事業が成長しているのであれば、それは資金調達を決断するタイミングかもしれません。
今回は私の実体験を基に、金融機関から資金調達をするプロセスの一部を書いてみたいと思います。
初めての借金は身内から
私はサラリーマンをしながらタイのシルバーアクセサリーの物販業を始めたわけですが、その時の元手はサラリーマンの給与で貯めた50万円からスタートしました(そのうちの20万円は税関で商品を没収されるという憂き目にあったわけですが…)
スタートしていきなりヒット商品を仕入れる事など当然できず、損切りを繰り返しながらサラリーマンの給与とボーナスをこの物販業に費やしていたわけです。次第に利益が取れるようになり半年~一年と経つにつれて利益が積み重なり売れる商品の特徴もつかめるようになってきて仕入れを拡大しようと思った時気づきました。現金が手元にないんです。
これは決して無駄遣いをしていたわけではなく、現金は商品という資産に変わっているわけです。しかしこの資産はお客様に購入して頂いて初めて現金になります。つまり資産が現金になって手元に帰ってくるサイクルが狂い始めてきたということです。
売れた実績のある商品、そこから派生した売れそうな商品、仕入れたいものはあるのに現金はない、そこで私は親に頼み込んで資金を調達しました。その額は200万円、決して少額ではありません。
さて現金が増えたのでその金を元手に次の仕入れを行ないました。売り上げは順調に伸びていますし、利益も出ています。しかしまた仕入れの際に現金が不足しました。親に借り入れを頼んだ時よりも売上規模は大きくなっているはずなのにここでまた仕入れと手元資金のサイクルが狂ったのです。私は再び親に資金援助を頼みました。
この一連の現象をさして「資金繰り」といいます。どなたでも聞き馴染みのある言葉だと思います。
私はこの資金繰りの管理が全く出来ていなかったのです。
事業開始から三期目にして黒字を達成
そんなわけで、サラリーマンとして働きつつ物販をやりつつ、親から金を借りつつ返しつつ、三期目の決算を終えたとき、大幅な黒字を達成しました。
黒字が出ているということは一年の商売を行って資産が増えたことを示しているのですが、この増えた資産は在庫であり現金が増えたわけではありません。私はこの時点でも手元資金の不足に悩んでいました。
しかしさすがに親にこれ以上の負担を強いることはできません。この時に初めて私は金融機関を頼ろうという発想が生まれました。事業資金の借り入れです。
実は二期目の赤字だった段階で地元の商工会に入会していました。目的としては小規模事業者経営改善資金(マル経融資)という商工会が保証人になってくれる融資制度を利用するためです。しかしこの融資制度を利用するには一定期間商工会に入会していることが条件になりますので、早めに準備を整えていました。
事業が黒字になったことで商工会にも借入の相談がしやすくなり、最終的に地元の銀行から創業融資を受けることができました。そこから間を空けずに日本政策金融公庫からも借入ができました。
こうして多額の現金が手元に入ってきたことにより、直面していた仕入れ資金の不足という問題は一気に解決したわけです。
自力で商売をしていたので借り入れはスムーズだった
銀行でも公庫からでも、融資を受ける際は面談があります。事業を始めていない人であれば事業計画書が必要です。
おそらく金融機関からの借入を受ける際最も高い障壁になる部分かと思います。
私の場合はすでに自力でこの商売を始めて自分で帳簿をつけて決算もしていました。どの商品がどれくらい売れてどの程度利益が出ているかもすべて把握できている状態だったため、かなりスムーズにこの面談を終えることができました。地元商工会の紹介があったことも大きいと思います。
特に日本政策金融公庫の面談を受ける際には事業を始めている、いないに関わらず事業計画書を作らねばならないのですが、そもそもすでに商売を始めているわけですから計画書も何も達成してきたことを書類に書き落とすだけでことが足りるのです。そこまで売り上げが伸び続けているので未来の売上規模もある程度膨らませても突っ込みを受けることもありませんでした。
私を苦しめていた原因は何だったのか?
売り上げが伸びているのに資金が足りなくなる、これがなぜ起こるかというと「正常運転資金」が増加し続けるからです。
売上が増えるとそれだけ仕入れを増やさなければいけないというのはすでにお伝えしましたが、逆を言えばその売り上げを目指すのであれば一定程度の在庫を必ず持たなければならないということです。
商売を続けている限り在庫がゼロになることはありませんし、売上を上げ続けるには在庫を維持するのではなくて新しい商品・売れる商品を仕入れて在庫を増加させる必要があります。商売を続けるために最低限必要な資金が増加し続けるため現金がどんどん減っていってしまうのです。
物販のような小売業において正常運転資金が増加し続けることは避けられません。不良在庫を増やさないということは大前提ではあるのですが、絶対に売れる商品を売れるだけ仕入れる、など完璧に実現するのは不可能です。
事業をするのであれば借金=悪という概念は捨てよう
正常運転資金の増加を自己資金だけで賄おうとすると成長速度が一気に落ちます。お金を借りるということは自分が行っている商売のポテンシャルに対してレバレッジをかけ成長を早めるということです。
手元に豊富な資金があれば仕入れたい商品に手が届くようになりますし、ウェブサイトを構築したり外注に出したりなど生産性を高めるための投資資金に回すこともできるようになります。
お金を生まないようなものに借金をしてまでお金をかけるということに対して私は今も反対です。しかしあなたがやろうとしている(やっている)物販業はお金をかけただけ成長し、より多くのお金を生み出す可能性があります。
借金は月々返済もそうですが利息が発生します。しかし事業資金で借りるお金に対する利息など2%もありません。年間10万円程度の利息を払ったとしても、年間100万円稼げるのであれば差引90万円の利益を作り出すことができます。
自己資金だけでは50万円しか利益が生み出せないとした場合、借金をして90万円の利益を生み出せる方がより効率的で生産的だと考え方を変えていただければなと思っております。
それに事業資金を借りると自然と金融に対して興味が湧くようになってきます。自分で作っている決算書等への理解も深まるでしょう(少なくとも私は大金を借りてしまった恐怖に駆られてかなり勉強しました)
私が最初に融資を受けた時点の商材の8割はシルバーアクセサリー、残りが革製品です。この二つの商材だけで事業の黒字化と金融機関からの資金調達を達成しました。それにこれはそんなにすごいことではありません、私よりもはるかに早いスピード、大きな売上と利益を生み出しているセラーは大勢います。
もしこの記事が参考になり、シルバーアクセサリーを扱いたい場合は銀影にご相談いただけますと幸いです。