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Toggle925刻印の落とし穴。セラー歴6年の私から見た“銀メッキ問題”
最近、お客様から「これ、メッキじゃないですか?」「本物のシルバーですか?」
という問い合わせをもらうことが本当に多くなりました。
フリマサイトやネットショップを見ていると、「Silver925」や「スターリングシルバー」と書かれたアクセサリーがたくさん並んでいます。
でも、正直なところそのすべてが本物のSilver925というわけではありません。
中には真鍮やステンレスの上に純銀メッキをかけて、表面だけ“925っぽく”見せている商品もあります。
見た目は綺麗で、刻印まで入っているからこそ見分けがつかない。
でも、セラーの立場からすると、重さと原価のバランスを見れば「これはSilver925ではないな」とすぐにわかります。
それくらい、今の市場には“925風”のメッキ商品が増えているんです。
安すぎる「925」はまず疑ってください
ここ最近、シルバーの地金価格は上昇傾向が続いており、
1グラムあたり200円を超える水準が当たり前になっています。
数年前に比べるとかなり高く、素材そのものの価値が上がっている状態です。
たとえば、10グラムのSilver925ペンダントを作る場合、
素材だけで約2,000円以上になります。
そこに加工や仕上げ、梱包、販売のコストが加われば、
完成品の価格は少なくとも4,000円から5,000円前後になるのが普通です。
つまり、それが2,000円台で販売されている時点で、
素材が本物のSilver925ではない可能性が高いということです。
Silver925の製品は、デザインやブランドよりもまず“素材そのもの”にコストがかかります。
見た目がどれだけ美しくても、
「なぜこの値段で出せるのか?」という視点を持つことが大切です。
価格の裏には必ず理由があります。
安すぎる“925”には、重さと原価の計算が合わない何かが隠れていると考えてください。
刻印を信じすぎないでください
「925」という刻印は、本来は素材の純度を保証する信頼の印でした。
もともとは工房やメーカーが、製品がきちんとSilver925(銀92.5%)で作られていることを示すために打つもので、
ある種の“職人の誇り”のような意味合いもあったんです。
しかし現在では、事情が大きく変わっています。
レーザー刻印機が数万円で手に入るようになり、
誰でも簡単に「925」の刻印を打てる時代になってしまいました。
つまり、刻印自体にはもう「信頼性」がほとんど残っていないんです。
実際、刻印が入っていても中身は真鍮や合金というケースは非常に多く、
フリマサイトや海外OEMの現場でも日常的に見かけます。
見た目だけを整えて“925っぽく”仕上げるのは難しくない時代です。
本物かどうかを見抜くためには、刻印だけで判断してはいけません。
価格・販売者の説明・重量・写真の質感など、複数の要素を合わせて考えることが大切です。
特に、商品説明の中に「925刻印あり」とだけ書かれていて、
素材そのものについて触れられていない場合は注意してください。
刻印というのは、「証明書」ではなく「装飾の一部」になりつつあるのが今の現実です。
見た目の信頼より、情報の整合性を信じる。
それが、Silver925を見抜くための最も確実な方法です。
商品説明をよく読むこと
怪しい商品ほど、説明文の書き方に微妙な違和感があります。
パッと見ではわからなくても、じっくり読むと「逃げている表現」や「言い換え」が見えてくるものです。
たとえば、「925風」「シルバー風」「スターリング風」といった表現。
これは“見た目だけ似せた”という意味で、素材そのものはSilver925ではありません。
つまり「雰囲気だけ本物っぽく仕上げた」商品ということです。
また、「シルバー色」「銀色」「925仕上げ」といった言葉も要注意です。
このあたりの表現は、真鍮や合金に薄く銀メッキをかけただけの製品によく使われます。
とくに「○○仕上げ」「○○カラー」といった“仕上げ”系のワードは、
素材をごまかすための常套句だと覚えておくといいでしょう。
逆に、信頼できるセラーは説明文の書き方が明確です。
「Silver925無垢」「スターリングシルバー」「ロジウムコーティングあり」など、
素材や加工の内容を具体的に書いています。
また、「重量(g)」や「製造国」などもきちんと明記していることが多いです。
一見すると、こうした説明は地味に感じるかもしれません。
でも、正直なセラーほど誤解を避けるために、言葉を正確に使うんです。
つまり、「風」「色」「仕上げ」「合金」といった言葉が並んでいたら、
それだけで“素材をごまかしている可能性が高い”と考えて間違いありません。
説明文の中に潜む“言葉のクセ”を見抜けるようになると、
写真ではわからない本物と偽物の違いが見えてきます。
最後に頼れるのは、デザインの派手さではなく――言葉の正確さです。
信頼できるセラーを選びましょう
信頼できるセラーは、素材や加工方法を正直に書く人です。
「メッキ」「コーティング」「ロジウム仕上げ」など、
見た目を良くするための処理がされている場合も、きちんと明記しています。
また、質問をすれば即答してくれる。
そういう誠実な対応こそが、最終的に“本物を見抜くいちばんの目安”になります。
逆に、「シルバー色です」「925仕上げです」といった
曖昧な表現しかしない出品者は注意が必要です。
質問をしても答えが濁る、あるいは話をそらすような対応をされた場合は、
その時点で信頼性に欠けると判断していいでしょう。
ここで大切なのは、「本物だけが信用に値する」という考えにとらわれないことです。
たとえメッキ商品であっても、それを明確に説明しているセラーは信用できます。
「これはSilver925ではありません」「真鍮ベースのメッキ製品です」と正直に書いてあるなら、
その人は誠実に販売しているということです。
素材を偽ることよりも、正直に伝えること。
その姿勢があるかどうかが、結局のところ信頼できるかどうかの分かれ目になります。
購入者側も、“刻印ではなく信頼で選ぶ”という意識を持つことが大切です。
値段より、デザインより、説明の正直さを見てください。
長く愛用できるアクセサリーを手にするには、
**「何を買うか」よりも「誰から買うか」**が重要なんです。