CITES(サイテス)とは何か?
CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約=ワシントン条約)は、野生動植物の種が過度の国際取引によって絶滅の危機に瀕することを防ぐことを目的とした国際条約です。
この条約は、絶滅の危機に瀕している野生動植物の種を保護するために、その種の国際取引を規制または禁止することを主な目的としています。
サイテスは、絶滅の危機に直面している種を3つの付属書(Appendix I、II、III)に分類し、それぞれの種に応じた取引の規制レベルを設定しています。
付属書Iに掲載されている種は、絶滅の危機に瀕しており、商業目的の国際取引が原則として禁止されています。科学研究など、特定の例外的な目的でのみ取引が許可される場合があります。
付属書IIには、絶滅の危機には瀕していないものの、取引が適切に管理されなければその存続が脅かされる可能性のある種が含まれます。これらの種の取引は許可制であり、国際取引を行うには輸出国の政府から輸出許可証が必要です。
付属書IIIは、ある締約国が国際的な協力を求めて保護を要請した種をリストアップしており、その種の輸出には輸出許可証が、輸入に際しては輸入証明書が必要になります。
タイの革製品として商用輸入ができるのは上記の附属書Ⅱと附属書Ⅲに分類される動物の革に限ります。
代表的なものはワニ革とヘビ革です。
ワシントン条約で規制された製品は普通にタイで買える
タイに直接買い付けに行くとあちらこちらに革製品を売っているショップがあるのですが、その店頭に普通にワニ、ヘビ革の財布類、バッグが置いてあります。
実はサイテスには商用サイテスと個人用サイテス(観光サイテスと呼ばれている)の2種類があり、個人が観光の買い物レベルのものであれば、この個人用サイテスの書類で輸入が可能です。
ただこの観光用サイテスというもの今まで見たことがありません。小売店なので観光用サイテスの発行が可能なのか聞くと大体発行できないと返答されます。また街頭のティッシュ配りのごとく観光用サイテスを配っている業者もいるらしいのですがそれは間違いなく偽物です(タイはまだまだニセモノの販売がはびこっている国なのでサイテスに限らず注意が必要)
また観光用サイテスでカバーされる製品の個数がいくつなのかもおそらく税関のさじ加減次第なのでこれに便乗して商用で商品を持ち込もうとするのはかなりリスクが高いです。
もし商用目的にこれらの品を無断で日本に輸入しようとして税関で引っかかった場合、全ての商品を没収される可能性、引いては密輸入として罪に問われる可能性があります。
以上を考えると我々事業者がワシントン条約に引っかかる製品を輸入しようと思う場合、必然的に商用サイテスが選択肢として残ります。
日本にいる我々が自力でサイテスを発行することはできない
サイテスの発行に係る主な流れは以下の通りです。
- タイの事業者がタイ政府に書類を提出する
- タイ政府の承認が下りた書類を事業者から受領する
- 受領した書類を添えて輸入許可証と共に経済産業省へ提出する
- 経済産業省から許可がおりた書類をタイの事業者へ送付する
- 再びタイの事業者がタイ政府に書類を提出し許可が下りれば輸入が可能
我々が行動しなければいけないものは上記の「2」「3」「4」になります。
どうでしょうか。この話を聞いただけでも面倒くさいと思うかもしれません。
免税書類であるJTEPA(ジェテパ)はタイの事業者がすべてやってくれますが、サイテスに関しては輸入をする本人が政府に書類を揃えて提出する必要があります。
Web申請などはできないので紙で印刷しなければいけないのもかなりの負担です(不備があると郵送で突き返される)
全員が全員そうではないと思うのですが経産省の役人の方となるとなかなか癖の強い方も多いので、私はサイテスに関する問い合わせで経産省に直接連絡をしなければいけないのが最も億劫でした。
また「1」のプロセス、「2」「3」「4」のプロセス、「5」のプロセスでそれぞれ一ヶ月程度の時間がかかりせっかく商品が出来上がっているのに手元に商品がない期間が長くなります。この労力を考えるとそれなりの額の商品を一度に仕入れたいところですし、どうしても費用が先払いになるため資金繰りの悪化も懸念せねばなりません。
この記事ではサイテスとは何なのかと、手続きの煩雑さについてご理解頂けましたら幸いです。